ツタンカーメンと言えば、エジプトのファラオの中でも最も有名な人物ですね。
その姿として、黄金のマスクを思い浮かべる方も多いでしょう。
そのツタンカーメンには、さまざまな呪いがあるとされていたり、謎の死を遂げているとして多くの都市伝説が語られています。
ここでは、ツタンカーメンに関する謎を紐解いていきます。


ツタンカーメンとは?
では、まずツタンカーメン自身について見ていきましょう。
ツタンカーメンは、紀元前1342〜1324年頃の古代エジプトのファラオ、つまり王です。
時代は第18王朝で、ちなみにツタンカーメンの正確な発音に近いのは「トゥト・アンク・アメン」です。
ツタンカーメンの墓の発見は1922年ハワード・カーターが発見しました。
盗掘に遭っていない、ほぼ完全に近い状態で発掘され、発見自体も大いに話題になりました。
同時に、その直後王家の呪いと言われる死が続き、より世間を騒がせました。
そんなツタンカーメンは、若くして王座についたことでも知られています。

「ツタンカーメン」は父である「アクエンアテン」が亡くなったために、ファラオの座に即位したとされています。
ですが、即位についてハッキリとは分かっておらず「アクエンアテン」と「ツタンカーメン」の間に「スメンクカーラー」というファラオがいるのでは?ともされています。
というのも、スメンクカーラー自身も謎が多く、ツタンカーメンと兄弟なのか叔父関係なのか、はたまた実在していたのも不明となっています。
ともあれ、即位した後のツタンカーメンは、父親であるアクエンアテンの政策を大幅に変更して国を統治していきました。
そんなツタンカーメンについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
幼くしてファラオの座につく
前王については謎がありますが、ツタンカーメンが即位したのは、何とまだ少年である9歳頃だろうとされています。
年齢については諸説ありますが、少年時代であろうことは判明しています。
補佐的な立場の人はもちろんいたでしょうし、もともとファラオになるべく教育されていたのかもしれません。

とは言え、少年時代に政治を行えるのはすごいですね。
もしかしたら、流れ的に仕方ない部分もあったのかもしれませんが、大変なプレッシャーがあったのかもしれません。
そして、ツタンカーメンは前王が信仰していた神ではなく、アメン信仰(太陽神)という伝統的な神の信仰を復活させ、首都を移転するという大きな変化をも起こしました。
どうして、このような政治を行ったのか謎もありましたが、信仰と首都に関しては、以前の状態に戻しているようですね。
先天的な異常を持っていた
エジプトに限らずですが、王家の血筋を守るために近親婚が多かったために、遺伝的な疾患を持っていた可能性が高いとされています。
これは他の王家の人間にも、見られることが多いものですね。
また、ツタンカーメンはずっと杖を使って歩いていたと言われていて、埋葬品として130本もの杖が入れられていました。

全て新品のものではなく使用した形跡があり、恐らくツタンカーメン本人が使っていたものではないかとされています。
他にも背骨が変形している、足の爪が無かったとされ、病弱であったという話も語られています。
ツタンカーメンは性別で苦しんだ?
上記のような、遺伝的な疾患のひとつであるホルモン異常から、女性化に苦しんだ可能性もあるとされています。一方で、その兆候は見られなかったともされています。
また、王家を女性化して描かれていることも多くあるために、混乱を招いているとされています。
単に王家を女性的に描いているということであり、実際とは違うとされています。
18〜19歳という若さで謎の死を遂げる
ツタンカーメンは即位した後、何と18〜19歳頃に謎の死を遂げています。

古代エジプト王家というと、何となく暗殺のイメージを想像してしまいやすいですね。
実際には、暗殺は多くなかったという説もあります。ですが、時間が経ちすぎていて当時のことが分からないために、暗殺が「有った」「無い」の証拠をつかめないというのもあるでしょう。
では、もう少しこのツタンカーメンの死について見ていきましょう。
ツタンカーメンの死には諸説ある
ファラオという立場であり、18〜19歳というかなり若い年齢で亡くなってしまった、ツタンカーメン。その死因には、様々な憶測が多く飛び交いました。
憶測が飛び交った要因としては「時間が経ちすぎていること」「ツタンカーメンのミイラを発見した当初、すぐに包帯を雑に剥がしてしまったこと」でミイラの損壊が激しく、ハッキリと断定できないことにあります。
ここでは、ツタンカーメンの死因に関する説をご紹介していきます。
頭がい骨を骨折した説
1962年に行われた、X線による調査で「頭蓋骨に強い打撃を受けて死亡に繋がった」つまり、強く殴られてしまったことで死亡したとしています。
その後、再調査が長らく行われなかったことから、通説のようになっていました。

この結果だけ見ると、他殺されている可能性が濃厚に思えますね。
ですが、よくよく考えてみると死亡した後にミイラにする作業が行われています。その時にもし頭蓋骨内部に骨が残っているなら「脳と一緒に取り出すはず」と2005年に結論づけられました。
素人目線で考えても、確かにその通りと思いますね。
現在では頭蓋骨に空いていた穴は、ミイラにする作業の時に開けられた穴として考えられています。
アイによる暗殺
アイという人物は、ツタンカーメンのすぐ後にファラオに即位した人物です。
もともと、アメンホテプ3世(ツタンカーメンの父アクエンアテンの前王)の頃から神官として仕えていて、ツタンカーメンがファラオとなった時には、アメン大神官として仕えていました。

このアイによって、暗殺されたのではないかという説があります。
状況だけを見ると、疑ってしまうのは道理ですね。
しかも、ツタンカーメンの死後は、ツタンカーメンの妻だったアンケセナーメンと結婚しています。
アイが即位した時には、すでに高齢だったのでかなりの年の差婚ですね。
この点から、アンケセナーメンも共犯だったのではないかという説もあります。
ですが、当時アイは高齢ですし「長年神官として仕えてきたのに今更王になろうとするかどうか」という疑問点が残ります。
また妻のアンケセナーメンは、アイとの結婚を嫌がりました。ヒッタイトの王に「王子に婿として来て欲しい」と手紙まで送っています。
ヒッタイトの王は手紙を受け取り、王子をエジプトへ向かわせます。ですが、王子は道中何者かに暗殺されてしまっています。
ツタンカーメン暗殺犯と同一人物なのか、別の目的によって暗殺されてしまったのかは分かりません。
ここまで揃うと、アイを疑ってしまいたくなるような状況ですね。
骨折とマラリア説
ツタンカーメンは、もともと足を悪くしていた可能性があります。上でもご紹介したように「杖を使って歩行していただろう」と推測されています。
そして、発見されたミイラは「左足指の付け根あたりの骨が腐って」いました。そのため、足の骨が壊死してしまうケーラー病ではないかとされています。

ケーラー病のため、転倒した時に大腿骨を骨折、さらに脳性マラリアにかかってしまったことが死因とする説です。
現在では、この説が一番有力とされていますが、それでも誰かに突き飛ばされたというような可能性も捨て切れません。
不運な事故だったのか、それとも他殺だったのか、今もなお闇の中です。
ツタンカーメンの呪いとは
ツタンカーメンの呪いは、王家の呪いやファラオの呪いとも言われていて、当時非常に恐れられていました。
噂には尾ひれ背びれがつくもので、いろんな話が飛び交いました。
ですが、ツタンカーメンの呪いは本当にあったのでしょうか?見ていきましょう。
王家の墓を暴いた関係者が次々急死したとされている
王家の谷でツタンカーメンの墓を発見し、最初にミイラを取り出した関係者が、突如急死していったというのがツタンカーメンの呪いとされています。
ツタンカーメンの墓に関わった人のみが亡くなっていくというのを知ったら、確かに怖いと思いますし、呪いと思ってしまうかもしれませんね。
実際には、関連して亡くなったのは1人
ですが、実際に亡くなったのは、カーナヴォン卿1人とされています。
その他の方は、1年以内に亡くなったという方は1人もいません。

カーナヴォン卿の死が呪いかどうかはハッキリとは不明です。
突如謎の急死ということではなく、蚊に刺された跡をヒゲを剃る時に傷つけてしまい、そこから丹毒になってしまい、さらには敗血症、肺炎を合併してしまい亡くなったそうです。
また、このカーナヴォン卿の死を「ツタンカーメンの呪い」として、新聞社が見出しとして書いたことが、直接的な呪いの始まりのようですね。
亡くなったことは事実ですので、絶対に呪いではないかと言われると分かりませんが、次々亡くなったという点と急死したというのは、少々違っています。
ツタンカーメンを題材にした映画
ツタンカーメンは、調べるほどに数奇な運命を辿っているファラオです。ですので、映画などでも多く取り上げられていますね。
また、ツタンカーメンの呪いというのも題材にしやすいキーワードです。
ここでは、ツタンカーメンを題材にした映画をご紹介していきます。
宇宙からのツタンカーメン
1982年に公開された映画です。
あらすじとしては、ツタンカーメンのミイラが発見され、アメリカで研究するために移送します。
そしてX線の検査を行うのですが、間違って大量のX線を浴びせてしまったことが原因で、ツタンカーメンが蘇ります。
同じ頃、ツタンカーメンの棺の中にあった宝石を、研究員が盗んでしまうことから、事件が始まります。
最終的には、ツタンカーメンはあまり関わって来ませんが、ホラー映画として楽しめます。
ミステリーズ・オブ・エジプト
こちらは、2003年に公開された映画です。ツタンカーメンの墓を見つけた当時について、老人が、その孫娘に答えていくようにして進んでいきます。
また墓を発見したハワード・カーターについても触れます。
エジプトの謎を、ゆっくりと紐解いていく映画です。
ツタンカーメンの秘宝 失われた王宮 / 太陽の王子
こちらは、スペインのテレビ映画として放送されたもので、DVDで購入できるようになっています。
ツタンカーメンの秘宝を探すため、考古学者のダニー・フレモンドは魔力を持った石版を探す旅に出ます。
ですが、同じことを考えている大きな秘密結社と敵対していくというストーリーです。
様々な要素が入っていますが、2本立てになっているので、少々見るのに根気がいるかもしれません。
ですが、面白い映画です。
まとめ
ツタンカーメンは黄金のマスクのイメージがありますし、豪華な暮らしぶりをしていたように思いがちです。
しかし、実際には幼くしてファラオとなり、若くして亡くなってしまったという運命を辿っていった人物だったのですね。
分かっていない部分も多くありますが、これから新たに分かってくる事実も多くあるでしょう。
これからも、ツタンカーメン情報には目が離せませんね。

他の記事も併せてご覧になってみてくださいね。


【参考サイト】
wiki
ツタンカーメン(wikipedia)
アメンホテプ4世(wikipedia)
スメンクカーラー(wikipedia)
アメン(wikipedia)
近親婚(wikipedia)
アイ(wikipedia)
アメンホテプ3世(wikipedia)
アンケセナーメン(wikipedia)
ジョージ・ハーバート (第5代カーナヴォン伯)(wikipedia)
宇宙からのツタンカーメン(wikipedia)
ツタンカーメンの秘宝 失われた王宮 / 太陽の王子(wikipedia)cccメディアハウス
ツタンカーメンは本物の男だった(Newsweek)映画.com
ミステリーズ・オブ・エジプト(映画.com)
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